50代以上で生命保険を見直すとき、必ず考えたいのが配偶者の生活です。子どもが独立している家庭では、死亡保障を大きく残す必要が少なくなることがあります。しかし、配偶者にいくら残せば安心かは、家庭によって違います。

貯金が2000万円以上ある場合でも、死亡保障をすべてなくしてよいとは限りません。配偶者の年金、住まい、生活費、医療費、介護費、葬儀費用をふまえて、必要な保障額を考えることが大切です。

夫婦の生命保険は「残された人の生活費」から考える

生命保険の死亡保障は、亡くなった人のためではなく、残された家族のための保障です。夫婦で考える場合、まず確認したいのは、どちらか一方が亡くなった後の生活費です。

食費や光熱費は1人分になりますが、住居費、固定資産税、管理費、通信費、医療費などは大きく減らないものもあります。夫婦2人の生活費が単純に半分になるわけではありません。

配偶者が一人になったとき、毎月いくらあれば生活できるのかを考えることが、死亡保障を決める第一歩です。

配偶者の年金見込みを確認する

配偶者に残すお金を考えるときは、年金見込みも重要です。夫婦それぞれの公的年金がいくら見込めるのか、どちらかが亡くなった場合に遺族年金がどうなるのかを確認しましょう。

年金額は、働き方や加入していた年金制度によって変わります。会社員期間が長い方、自営業の方、専業主婦・主夫期間がある方では、老後の収入に差が出ます。

死亡保障は、配偶者の年金だけでは不足する生活費を補うために考えるものです。年金見込みを確認せずに死亡保障を決めると、多すぎる保障や少なすぎる保障になりやすくなります。

貯金2000万円は配偶者の生活資金にもなる

すでに貯金が2000万円以上ある場合、そのお金は配偶者の生活資金にもなります。死亡保障を考えるときは、保険金だけでなく、預貯金や退職金も合わせて考える必要があります。

たとえば、配偶者に毎月5万円の不足がある場合、年間では60万円、10年では600万円です。貯金でどこまで対応できるかを考えると、必要な死亡保障額が見えやすくなります。

ただし、貯金は医療費、介護費、住宅修繕費、予備費にも使う可能性があります。すべてを生活費として使えるわけではないため、余裕を持って考えることが大切です。

死亡保障を減らしてよい場合と残したい場合

次のような家庭では、死亡保障を減らせる可能性があります。

  • 子どもが独立している
  • 住宅ローンが完済済み、または残高が少ない
  • 配偶者に年金や収入がある
  • 預貯金や退職金がある
  • 毎月の保険料が老後資金を圧迫している

一方で、次のような家庭では死亡保障を残した方がよいことがあります。

  • 配偶者の年金が少ない
  • 住宅ローンや家賃負担が大きい
  • 扶養している家族がいる
  • 配偶者が家計管理に不安を感じている
  • 葬儀費用や相続対策として保険金を残したい

死亡保障を減らすかどうかは、貯金額だけでは判断できません。配偶者の生活を具体的に考えることが必要です。

夫婦で保険証券を一緒に見る

保険見直しをするときは、夫婦で保険証券を一緒に確認することをおすすめします。どちらがどの保険に入っているのか、死亡保障はいくらあるのか、医療保険やがん保険はあるのかを共有しておくことが大切です。

特に、保険料をどちらの口座から払っているか、保険金の受取人は誰か、保険料の払い込みはいつまでかは確認しておきたい項目です。

万一のときに、残された配偶者が保険の存在を知らないと、給付金や保険金の請求が遅れることがあります。保険は加入して終わりではなく、家族が使える状態にしておくことも大切です。

夫婦で保険相談を受けるメリット

保険相談を利用する場合は、できれば夫婦で参加するとよいでしょう。片方だけで相談すると、配偶者の年金、生活費、不安、希望が反映されにくいことがあります。

夫婦で相談すれば、死亡保障、医療保険、がん保険、介護への備えを一緒に整理できます。また、保険料をどこまで払えるか、老後資金をどのくらい残したいかも話し合いやすくなります。

複数社を扱う保険相談サービスでは、現在の契約内容を確認しながら、必要な保障額を考えることができます。日本生命、明治安田生命、メットライフ生命、はなさく生命など、保険会社ごとに商品や相談方法は異なります。自分たちに合う形を探すには、比較する視点が役立ちます。

配偶者に残すお金は多ければよいとは限らない

配偶者にお金を残したい気持ちは大切です。ただし、必要以上に大きな死亡保障を続けることで、現在の老後資金が減ってしまう場合もあります。

保険料が高いままでは、夫婦で使える生活費や医療費、楽しみのためのお金が少なくなることがあります。配偶者に残すお金と、今の生活を守るお金のバランスを考えることが大切です。

夫婦の生命保険は、死亡保障を増やすためだけのものではありません。残された人の生活を守りながら、今の老後資金も守るために見直すものです。50代以上の方は、夫婦で一度、保険の内容を確認してみましょう。

出典:金融庁 公的保険ポータル生命保険文化センターほけんの窓口