示談前に確認したい注意点と相談先の使い分け
交通事故の示談は、賠償金額や支払方法などについて当事者が合意し、民事上の問題を解決する手続きです。成立後の変更は簡単ではないため、金額だけでなく、治療や後遺障害、過失割合なども確認してから判断します。
示談成立後は原則として内容を変更しにくい
日弁連交通事故相談センターは、一度示談が成立すると、特別な事情がない限り撤回したり、示談の対象となった問題を再び争ったりすることはできないと説明しています。
日本損害保険協会も、示談が完了すると基本的に内容の変更・修正はできないため、納得できる内容か慎重に判断することが重要としています。
そのため、「保険会社から書類が届いたから」という理由だけで署名するのではなく、少なくとも損害項目と金額の内訳は確認しておきたいところです。
一方、示談時には予測できなかった後遺障害が後から判明した場合など、成立後でも追加請求が認められる可能性がある例外もあります。個別事情によって結論が変わるため、そのような場合は専門家へ確認することが重要です。
損害賠償請求には時効がある
交通事故の損害賠償請求を長期間そのままにしておくことにも注意が必要です。
現在の民法では、不法行為による損害賠償請求権は原則として、被害者が損害と加害者を知った時から3年で時効となり、生命・身体を害する損害については5年とされています。また、不法行為の時から20年という期間もあります。
後遺障害については、一般に症状固定日が時効の起算点として問題になることがあります。さらに自賠責保険の被害者請求には別の請求期限があるため、事故から時間が経っている場合は早めに期限を確認する必要があります。
相談したい内容によって窓口を使い分ける
| 困っていること | 相談先の例 |
|---|---|
| 提示された示談金が妥当か知りたい | 日弁連交通事故相談センター、交通事故を扱う弁護士 |
| 保険会社との交渉がまとまらない | 交通事故紛争処理センター、日弁連交通事故相談センター |
| 損害保険会社とのトラブルがある | そんぽADRセンター |
| 自賠責保険の支払いに疑問・不服がある | 自賠責保険・共済紛争処理機構 |
| 弁護士費用の負担が心配 | 弁護士費用特約の確認、法テラス |
「示談金の金額」だけで判断しない
保険会社から示談提示を受けたときに重要なのは、提示額が高そうか安そうかを感覚だけで判断することではありません。治療費、休業損害、慰謝料、後遺障害、逸失利益など、事故によって生じた損害がどのように評価されているかを見る必要があります。
また、弁護士へ相談する場合も「依頼すればいくら増えるか」だけでなく、事故状況を整理し、提示内容の妥当性を確認し、自分が納得できる形で解決するための手段として考えることが大切です。
まず保険会社から届いた示談提示書の内訳を確認し、分からない項目があれば説明を求めます。それでも判断できない場合には、日弁連交通事故相談センターなどの無料相談、交通事故を扱う弁護士、交通事故紛争処理センターなどを利用する選択肢があります。すでに示談書へ署名する段階で迷っている場合は、合意する前に内容を確認しておくことが重要です。
<参考サイト> 国土交通省 自賠責保険ポータルサイト / 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター / 公益財団法人 交通事故紛争処理センター / 法テラス / 一般社団法人 日本損害保険協会 / 一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構